藁葺、茅葺といった屋根はさすがに最近では見なくなりました。実物をまだ見たことがないという人も多いのではないでしょうか。葺き替えの職人さんも全国的に減りましたので、今後も減少の一途を辿るのでしょうね。ちなみに、管理人の田舎は古い集落だったので、昔は近所で集まってみんなで葺き替えをやっていたなんて話を聞いたことがあります。
さて、そんな藁葺・茅葺の屋根は何のためにそんなもので屋根を作ったと思いますか?普通に考えてももっと手間の掛かからない建材・工法は昔でさえいくらでもあったと思いませか。答えは、断熱性に優れているからです。日本の住まいは、高温多湿な夏から人と建物を守ることに重点がおかれた「住まいは夏をむねとすべし」が基本でした。
また太陽熱を直接室内に入れない工夫として、「すだれ」などがあります。この知恵はしっかりと現代に受け継がれていて、セイキ販売社製のサングッドⅡのような遮熱ロールスクリーンなど、西洋風の住宅にも合うような形に進化しています。一説によると現代における暑さは、70%が窓からの熱が原因だそうです。昔の人の知恵というのはすごいですね。
それでは、日本の住宅の冬はどうしたのでしょうか?夏を基本に考えた住宅だけに、冬は寒そうですね。そうです、冬は寒いのでひたすら我慢したそうです。木造住宅ということもあって、火に弱いことから暖房器具は発達しづらかったというのも理由のようです。囲炉裏はありましたが、部屋全体を暖めるようなものではなく、近くに寄らないと暖かさを感じないホットカーペットやこたつのような役目しか果たしません。
もっと両方バランスよくできなかったものか、日本人は器用な民族じゃなかったのか、なんて声も聞こえそうですが仕方がありません。私たちの住む日本の気候が特殊すぎるのです。もっと暑い国はたくさんあります。もっと寒い国もあります。しかしながら、夏はマニラ並み、冬は北欧並みまで気温が変化するのが日本という国です。四季に加えて梅雨や秋雨があり、年間平均11個の台風が接近するため、欧米の平均的な都市の3倍の降水量を記録します。そうです、日本はとても厳しい気候なのです。今では、夏は涼しく、冬は暖かい住まいが作れるようになったので年間を通して快適に過ごせるようになりましたが、改めて昔の人の知恵というのはすごいですね。